呼吸には種類があることを知っていましたか。浅い呼吸は「胸式呼吸」と言われるもので、楽に呼吸はできますが、その分新鮮な空気を取り込みにくくなります。浅い呼吸をしていると、体と心にまつわるさまざまな不調に関係することもあるようです。
体と心の不調には、慢性的な疲労を感じる、代謝が低く太りやすい、肩や首の凝りがひどい、イライラする感じが続くなどがあります。呼吸と疲労が関係すると言われると、関係がないように感じるかもしれませんが、実は大いに関係します。
呼吸には浅い呼吸と深い呼吸がありますが、どのような呼吸なのか、そして、呼吸がどのように私たちに影響するかについて見ていきたいと思います。
浅い呼吸とは
浅い呼吸は「胸式呼吸」と言われるもので、楽に呼吸はできますが、その分新鮮な空気を取り込みにくく、肺のガス交換が十分ではありません。
私たちは日々の中で、仕事、家事、育児、介護・・・など、やることたくさんあります。そんな時、少しパニック気味になったり、過労でいっぱいいっぱいになっていることがあるかもしれません。そんな状況のとき、ちょっと自分自身を観察してみてください。
こんな状況になっていないでしょうか。
・肩があがっている
・呼吸が浅くなっている
・眉間にシワがよっている
・口呼吸が多い
・良く寝ているはずだが、寝起きが悪く疲れがとれてない
・気が短くなりイライラしていることが多い
忙しすぎたり、ストレスが多いと、自律神経は交感神経だけ優位になってしまい、戦闘モード全開の状態になっていることがあります。そんなときに浅い呼吸をしていることに気づくかもしれません。
自律神経には、交感神経と副交感神経2つの種類があります。
交感神経は、緊急時やストレス時に働き、心身を活発にする神経です。激しい運動、興奮や緊張時、恐怖や危機を感じているとき、頑張って働いているときなどに必要になります。大事な神経ですが、ストレスに反応して働くため、ストレスの多い現代社会では交感神経を必要もないのに高ぶらせてしまい、それが様々な症状の原因となっています。
副交感神経は、心身を休め回復させたり、体のメンテナンスを担う神経です。交感神経が緊急時に頑張るための神経ですが、副交感神経は睡眠時、休息時などリラックスしている時に働く神経です。ストレスフルの状態は交感神経を発動させやすく、副交感神経の働きが低下しやすくなっています。
副交感神経が働かないと、体の回復力が低下し、様々な症状が起こりやすくなります。そうすると副交感神経が慢性的に働かなくなり、回復力が低下した状態が続きます。また、交感神経優位のため心身の緊張状態が続き熟睡できなくなります。副交感神経優位の状態を作って、深い睡眠や十分な消化吸収、そして疲労回復をさせるモードに体を調整していく必要があります。
深い呼吸とは
副交感神経優位の状態をつくるのに不可欠なのが、「ゆったりした深い鼻呼吸」です。口を閉じて鼻の穴から空気を出し入れすることが大切です。
より深く呼吸するためには、鼻の奥の空間を意識し、顔の奥にある空間一杯に息を入れて、のどの奥、それから肺の奥深くまでの空間に新鮮な空気を満たすイメージをしてみましょう。ちょうど安心して熟睡している動物や人間の赤ちゃんの呼吸を見てみると、胸やお腹がゆったり動いています。そのようなイメージで行ってみるとよいでしょう。
できれば、緑の多い公園とか、ちょっとした森林とか海辺とか「景色、空気のいいところ」で「おいしい空気」をとりこめるとより効果的ですが、手軽にできるのは、お風呂の中でちょっとアロマエッセンスを垂らす方法です。もちろん、オフィスやリビング、カフェなどで、呼吸だけを行うのでもかまいません。
鼻呼吸をゆっくりやっていこうとすると、肩こりや背中の凝り、腰痛が自覚されるかもしれません。そんなときはその凝りの部分を観察しながら呼吸をつづけると、次第にその凝りが緩んでくることがあります。ぜひ、試してみてください。
浅い呼吸が引き起こす体の不調
浅い呼吸が引き起こす体の不調には、次のようなものがあります。
・眠気がとれない
・疲れがとれない
・肩こり
・肥満
・便秘
・冷え症
・血行不順 など
浅い呼吸は、脳や自律神経に影響を及ぼし、ストレスをますます増幅してしまいます。また、酸素不足により、内臓の機能低下を引き起こすこともあります。交感神経が過剰に働きすぎると、イライラしやすくなったり、セカセカしたり、気分が落ち着かない、動悸、不安感を強めることにもつながってしまいます。
しっかり休んでいるのに疲れがなかなか取れない・・・というときは、自分がどのような呼吸をしているのかを少し観察してみましょう。