親が高齢になってもある程度一人で何でもこなしていたり、元気だったりすると、子どもとしては安心してしまい、介護施設の心配をするのはもうちょっと先でもいいかと思ってしまいます。しかし、介護施設を探すタイミングは、介護が必要になってからではありません。
入居する親自身が納得し、満足度が高い介護施設に入居することができるタイミングは、本人が元気で意思表示がはっきりできるときです。このように元気で意思表示がはっきりできるときは、親が自分の足で介護施設の見学に行くことができ、施設側の説明をしっかり理解できるときのことを指します。
なぜ、 自立していたり、元気だったりするときに介護施設を探したほうがよいのかを考えていきましょう。
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親が自分の意思表示できるうちに介護施設を探したほうがよい理由
介護施設は、入居する親本人の生活の場となります。そのため親の意思を尊重して、できれば本人主導で介護施設探しをすることが理想です。介護施設といってもいろいろな種類の施設がありますし、運営母体によっても、またスタッフによってもその施設が過ごしやすいかどうかは変わってくるからです。
そのため施設探しで重要なのは、【見学】と【体験入居】です。
その介護施設が入居者本人に合っているかを判断するためには、複数の介護施設を見学し、比較することが大事です。毎日の生活を過ごすわけですし、1日のほとんどの時間をそこで費やすことになりますので、居心地がわるかったり、本人にとって快適な場所ではないと、生活するのが辛くなってしまうからです。
介護施設の見学のときに必要な判断力
見学のときは、施設の設備、食事、入浴、スタッフの介護体制、居室の状況、かかる費用、入居条件など、介護施設側の説明はたくさんあります。介護施設からの説明を理解することが見学のときには必要となります。
介護施設探しは、施設を見学し、説明を聞く、わからないことを質問するということが必要になりますので、このようなことができるのは、やはり介護施設に入居する親本人が元気なうちのほうがよいでしょう。
親が元気なうちに介護施設探しができるようにするために
親が事前にいろいろと考えて準備できていれば問題ないのですが、親自身も自分の老いとなると、なかなか認められない、認めたくないものです。子どもとして心配して口を出したくなりますが、いきなり親に「介護施設探しをしよう」といっても、親もプライドがありますし、なかなか納得して一緒に行動を起こすことは難しいでしょう。
実際に、介護現場をよく知るケアマネージャーによると、介護が必要になったら、子どもたちや家族には迷惑をかけたくないから、施設の世話になると言っていた人でも、実際に介護が必要になったときに自分からすすんで施設に入る人はほとんどいないそうです。
そのため必要が生じてからどこの介護施設にするかということになる前に、やっておきたいことは、気持ちに寄り添う親子のコミュニケーションと親の資産の確認です。
親子のコミュニケーションを図って意思を確認する
親が自立していて、身体が元気で、自宅での生活に不自由がないうちは、介護施設探しといってもなかなか実感がわきません。特に、自宅での生活を望んでいる場合、子どもが親へ介護施設探しを促すのは難しくなります。
子どもが遠距離に住んでいて、親の介護にかかわる機会が難しい場合には、介護施設選びを先に話題にするのではなく、将来のことについてよく話をすることから始めるとよいでしょう。
それには、具体的なイメージをもたせることが有効的です。例えば、介護が必要となった場合には、どこで、誰に介護してもらいたいのかを聞き、本人の希望を引き出します。また、配偶者が亡くなった後、一人暮らしは大丈夫なのか、子どもの誰かと同居を希望するのかという点も聞いておくとよいでしょう。
また、親の介護施設の知識がどれくらいあるのかを確認しておくことも大切です。介護施設の中には、介護をメインに行うところだけではなく、身の回りのことを自分でできる人でも入居できる施設があります。全てを誰かに介護してもらうだけでなく、生活の不安を解消するための方法として、介護施設で生活するという選択肢もあることを伝えることもできるでしょう。
センシティブな内容の話になりますので、将来の親の生活の希望として聞き、子どもとしての考えも伝えるとよいかもしれません。親子のコミュニケーションがうまくいっているのであれば、この辺の話もスムーズにでき、介護施設の話もしやすくなります。
介護施設探しとともにかかる費用の計算を行なう
介護施設を考える前に、検討しておくべきことがあります。それは、本人の年金や資産を確認することです。介護施設で生活するには、決して安くない費用がかかります。そのため、親の資産で費用負担が、どの程度できるのか確認することが必要です。
例えば、介護付有料老人ホームでは、入居の際に払う「入居一時金」と毎月支払う「月額利用料」が発生します。入居時費用の全国平均は約500万円、月額利用料の全国平均は約21.7万円です。
サービス付き高齢者向け住宅の費用では、賃貸借契約方式が多く、その場合は一般的な賃貸住宅と同じく、入居時に初期費用として敷金・礼金（家賃２～３ヵ月分）を支払うのが一般的です。施設によっては、前払い家賃や保証金を求められることもあります。入居時費用の全国平均は約16.5万円、月額利用料の全国平均は約15万円です。
グループホームの費用は、入居する際に初期費用として入居一時金や保証金を負担するのが通例になっています。入居一時金は有料老人ホームのような高額になることは少なく、10～20万円が相場ですが、多い場合だと100万円ほどになることもあります。入居時費用の全国平均は約15万円、月額利用料の全国平均は12.6万円です。
特別養護老人ホームでは入居時費用の必要がなく、月額費用として生活費、介護サービス費を負担していくことになります。要介護度と居室タイプによって自己負担額が決まります。
月額費用は親自身の年金でやりくりできることが理想ですが、足りない場合は、預貯金などの資産を取り崩していくことになります。親の年金や資産が足りない場合には、子どもが援助できるのかどうかを検討していくことも必要です。
介護施設に入居するには、かなりの費用負担がかかることがわかります。
介護がはじまるいろいろな状況をシュミレーションする
事前に準備できることにこしたことはありませんが、実際には親が病気やケガで入院したことをきっかけに、親の介護施設を探す必要があるというケースは少なくありません。
もちろん親が住み慣れた地域で介護施設に入居することが望ましいですが、場合によっては遠方の介護施設にしか空きがないということもあります。馴染みのない見知らぬ地域の介護施設に入居することは不安も大きくなります。
そのため、できるだけ元気なうちに親の意向を確認し、介護施設探しを一緒にしておくことで、いざという時に備えておくことができます。自宅周辺で条件に合う介護施設がないということが事前にわかったのなら、少し地域を広げて探すとよいでしょう。
病気やケガで体調や気持ちが弱っているときに、いきなり見知らぬ土地へ行くよりは、早い段階で下調べをしておくことで、親の不安も子どもたちの心配も軽減されることに繋がります。
まとめ
介護施設を探すタイミングについて考えてきました。
介護施設を探すタイミングは、介護が必要になってからではありません。親が高齢になってもある程度自立していたり、元気だったりすると、どうしても先延ばしにしがちですが、介護施設探しは、親が元気なうちに行なうことが望ましいでしょう。
そのためには親子の信頼関係、コミュニケーションが大切です。親の意向を尊重しつつ、親子で介護施設探しを一緒にすることは、親にとっても安心でしょう。
本人が理解しづらい細かな契約の内容などは、子どもがフォローし、親にわかりやすく説明をしてあげましょう。親が抱いている疑問や不安は介護施設側に確認するとともに、親が言葉にしづらいことなども、子どもがフォローできれば、親子にとって安心した生活をおくることにつながります。
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