最近では、成人した人でも歯の矯正をおこなう人が増えています。歯は一生モノですし、費用はかかりますが、歯を矯正することによって、見た目が良くなることはもちろんですが、歯をきれいに保ちやすくなったり、虫歯になりにくくなったり、発音が良くなったりといいことばかりです。
矯正の期間はそれなりに時間がかかりますが、健康のためにもできるときにしておくと良いでしょう。ここでは、大人の歯の矯正に関して、方法や費用について見ていきたいと思います。
大人の歯の矯正のメリット
主な期待できる治療効果としては、次のようなことがあります。
●歯並びをきれいに整え、正しい咬み合わせになる
●口腔内を清潔に保ち、虫歯や歯周病などの歯科全般の予防になる
●フェイスラインも整い、健康的で美しい口元になる
●歯の機能を回復させ、活舌も良くなる
●歯と歯茎のアンチ・エイジングと健康の維持に貢献する
歯の矯正をするのに年齢制限はある?
矯正治療に明確な年齢制限はありません。
歯の矯正は子どもがするものと考えている人も多いですが、歯肉と歯を支える骨が健康であれば、矯正歯科治療を始めるのに、年齢は関係ありません。加齢とともに歯並びに影響が出始めるミドル世代の方も、口腔内の健康維持のために矯正治療をすることは有効的です。
このため50代での矯正治療はもちろん可能性ですし、決して稀なケースではありません。50代での矯正治療を行うメリットについて考えてみたいと思います。
50代の歯の矯正治療のメリット
矯正治療を受けるかどうか、その判断基準は矯正治療にどのようなメリットがあるのかです。「審美性が高くなる」ことはもちろん重要ですが、その他のメリットもたくさんあります。
審美性が高まる
歯並びが美しくなることは顔全体の見た目が美しくなることを意味します。笑顔が美しくなることは大きなメリットですし、このメリットに年齢制限はありません。歯並びが美しくなることで若く見えることもあるでしょう。
虫歯を予防しやすくなる
歯並びが悪いと凸凹しているため歯磨きがしづらく、箇所によってはプラークが溜まってしまいます。このため、歯並びが悪い人は虫歯になりやすい傾向があるのです。矯正治療で歯並びを改善すれば虫歯を予防しやすくなるということになります。
噛み合わせが良くなる
噛み合わせが悪いと歯にダメージを与え、年齢によってはしっかり噛めなくなってしまいます。矯正治療による歯並びの改善は噛み合わせの改善にもつながり、しっかり噛めることで年齢を重ねても噛むことに対する不安がなくなります。
一生ものの歯を手に入れることができる
50代になると歯を失うのが怖くなりますが、歯を失う要因として最も高いのが歯周病です。また、虫歯が進行して歯を失うケースもあります。 矯正治療で歯並びを改善すれば虫歯や歯周病を予防しやすくなり、それは歯を守ることにつながります。
頭痛や肩こりの解消
日頃から頭痛や肩こりで悩まされているのなら、歯の噛み合わせの悪さが原因かもしれません。噛み合わせが悪いと噛む筋肉が悪影響を受け、頭痛や肩こりを引き起こすことがあります。矯正治療で噛み合わせの悪さを改善できますから、それが原因となる頭痛や肩こりを解消できます。
一方で、デメリットもいくつかあります。
50代の歯の矯正のデメリット
歯が動くのが遅い
矯正治療で歯を動かすには、歯周組織の新陳代謝が大きく関係しています。こうした代謝は年齢とともに低下していくため、50代代で矯正治療を受けた場合は若い人に比べて歯が動くのが遅くなります。できるだけ早めに矯正することをおすすめします。
後戻りしやすい
これは50代に限らず、大人の矯正治療全体に言えることです。大人の歯は後戻りが起こりやすく、そのため「矯正治療は子供の頃にした方が良い」と言われます。
とはいっても、もう大人になってしまっているので、時間を遡ることはできません。その場合には、保定装置の装着で対処することができます。保定装置は矯正が終わってもできるだけつけるように勧められるます。それをしっかり守れば、矯正治療がムダになることはありません。
歯肉が下がることがある
元々歯肉は加齢によって下がりますが、歯肉が下がった状態で矯正治療をするとさらに歯肉が下がることがあります。また、これによって知覚過敏が起こるケースもあります。歯の磨き方に気をつけて、できるだけ歯肉が下がらないように気をつけましょう。
矯正歯科治療のステップ
初診
歯の状態の検診とカウンセリングをし、治療概略を説明。
検査
虫歯の有無、検査模型用の歯型取り、レントゲン、口の中や顔の写真撮影など各種検査。
治療方針の決定
検査結果をもとに治療方針や期間・装置・費用などを説明。
治療開始
矯正装置を歯に装着。装着後は定期的に状態のチェックや矯正装置の調節などを行う。
治療終了
矯正装置をはずし、歯の後戻りを防ぐため、取り外しが可能な保定装置をつける。
保定治療
定期的に歯の状態を確認し、最終チェックをして治療終了。その後のアフターケアも大切。
歯の矯正の方法
裏側矯正
裏側矯正(舌側矯正)とは、通常の矯正では歯の表側に付ける矯正装置を歯の裏側に付けることで、ブラケットとワイヤーは表側からは見えません。矯正治療中であることを周りの人に気づかれずに行える治療です。
熟練した裏側矯正歯科医の場合、表側からの矯正治療も、裏側からの矯正治療もほぼ同様の結果を得ることが出来ます。裏側からの矯正を希望する場合、見えない矯正、ということが他とは比較出来ない、大きなメリットとなっています。デメリットとしては、歯の裏側に装置をつけるので最初は少し痛く、発音しづらいという点があります。
費用は、一般的な矯正よりも高くなります。ある歯科医では、裏側矯正(全顎)約150万円でした。一般的な矯正が約100万円くらいなので、1.5倍程度になります。
とはいえ、大人になってからの矯正することに対して、ワイヤーやブラケットといった装置が他人から見えることを、とても気しているのであれば、この方法もよいかもしれません。
スピード矯正
スピード矯正(コルチコトミー)は、普通ワイヤー矯正にプラス10万~20万程度でできます。(ただし、金額の高い医院はもっと高額になるようです)手術は数時間で終わりますがその後の数日、腫れる場合があるそうなのでお仕事がある方などは休日前などに手術されることを進められるそうです。
問題は、スピード矯正をするとどのくらい期間が短縮するかだと思いますが、これが半年以上とか短縮できるのであればメリットはあるでしょう。数ヶ月の治療期間短縮であれば、それほどメリットはないかもしれません。
また、手術後に歯肉退縮が起こる可能性があるそうなので、歯肉の薄い・歯周症の方がスピード矯正をする場合には、その点もしっかり考えたほうがよいでしょう。スピード矯正は誰にでもおすすめできるものではないので、スピード矯正に適応できる状態かどうか、そしてどの程度治療期間が短縮できるのかどうかよく矯正相談のときや矯正検査後に聞いてください。
インビザライン(マウスピース)矯正
インビザラインは薄い透明のプラスティクでできているため、装着してもほとんどわかりません。また、普通に食事や会話ができ、喋りやすく、痛みがほとんどありません。通院回数も少なくて済みます。
特徴としては、「透明」なので目立たないことがあげられます。矯正治療中であっても口元の見た目を気にせず笑顔を見せることができます。相手に伝えない限り、誰も矯正治療を受けていることに気づきません。透明で取り外しが可能なマウスピース(インビザライン・アライナー)を順次装着することで、きれいな歯並びへと変化していきます。インビザライン・アライナーは約1~2週間ごとに新しいものに交換します。
また、自分で取り外し可能、しかも快適に過ごせます。インビザライン・アライナーの装着は違和感が少ないので、日頃の多忙なライフスタイルにもほとんど支障がありません。受診のたびに、治療の進行状況を確認し、新しいインビザライン・アライナーを担当の矯正歯科医から受け取ります。自分で簡単に取り外し可能なので、食生活もこれまで通りです。歯磨きやフロスにも全く影響がないので、歯と歯周組織をこれまで通り健康に保つことができます。
費用は、歯科医によって異なりますが、一般的には歯列矯正治療費が約700,000円、保定基本料が約180,000円程度のようです。ライトという簡単なケースの場合は、その半額程度になります。
大人になって歯の矯正を迷っている人の事例
治療期間が2年もかかることで躊躇している
歯が生え変わった頃から歯並びがとんでもなく悪く、もはやグロテスクなレベルなので、歯科矯正を考えています。
本来なら幼少の頃に済ませておくものみたいですが、生憎家計が苦しく、そんな余裕がありませんでした。自分で稼げる歳になったので、費用は自分持ちで受けようと思います。
そこで思ったのが、周囲からの目。小学校時代、友人に矯正をしている子が多く、笑ったときに矯正器具が丸見えになる様を見て、矯正器具ってこんなにダサいのか…と子供心に失礼なことを思ったことを思い出します。(決して矯正をしている人を悪く言っているのではないです)
話を聞くと、綺麗な歯並びになるまで2年はかかると言うではないですか…!しかも痛いらしい…!
接客業をしているので、見た目は致命傷になるのではと不安です。目立たない矯正器具もあるみたいですが、費用がかなりお高くなるようなので、迷います。
このまま歯並びを気にしながら歯が無くなるまで老いるのを待つのと、2年間我慢するのとでは、どちらが良いのか分かってはいるのですが。
大人が矯正器具を付けていることをどう思われますか?ダサい?それとも気にしない? 周りにそういう方がいる、もしくは自分が現在矯正を受けている、という方からのご意見お聞きしたいです。
出所:教えてGoo! 「大人になってからの歯科矯正」
ズバリ、迷っているなら歯の矯正をすることをおすすめします。2年間は長いと思うかもしれませんが、あとから考えるとその2年の我慢をしてよかったと思えます。私自身は、歯の矯正を行ったおかげで、今までとても長く時間をかけて歯を磨いていましたが、その時間が大幅に短縮されましたし、何よりも見た目もそうですが、口内環境がよくなりました。
歯の矯正をする前は、どんなに自分で一生懸命みがいてもすぐに虫歯になったり、クリーニングに行ったときに、歯科衛生士さんに磨き方を指導されたりしていましたが、それらが矯正をしたおかげで、ほとんどなくなりました。
歯並びによっては歯の裏側からの矯正が可能ですが、費用が高くなり、矯正期間も延びるようです。目立たない透明・白の装置もありますので、あまりにも気になるようであれば、検討するとよいかもしれません。この辺は歯科医師に相談するとよいでしょう。そして、信頼できる歯医者のところで矯正を行ってください。